1. トップページ
花粉症…の難しい話~花粉症対策は春風よりも先に~

 2月に入り寒さの増す中、皆様いかがお過ごしでしょうか?早く春にならないかと願っている方も多いとは思いますが、春風とともにやってくる「アレ」が厄介ですよね(^-^;

そう、つら~いクシャミや鼻炎を引き起こす「花粉症」(#ಠ 益ಠ) 本日は、春に先駆けて知っておきたい「花粉症」についてのお話です。

花粉症の歴史

 世界では古くから花粉症が存在しましたが、日本では約50年前の1961年に花粉症が確認されました。その原因はアメリカ駐進軍が持ち込んだとされるブタクサによるものでした。その後、様々な花粉症の原因花粉が発見され、今では約50種類以上の花粉が花粉症の原因として確認されています。

 日本では花粉症と言うとスギ花粉症のイメージがありますが、1960年代の花粉症発見当初はブタクサ花粉症が主流で、花粉症と言えば秋の症状でした。しかし1980年代以降は、戦後に植林した大量のスギが成長して花粉を飛ばすようになったため、スギ花粉症が主流となり、花粉症は春の代表的な症状となったのです。

身体の防御機構「免疫」┣o(・ω・。)ガード!!

 花粉症の話をする前に、免疫についてお話しをしましょう。免疫は体内に侵入した異物「抗原」を排除するためのシステムです。免疫には生まれながらに備わっている「自然免疫」と自身で作り上げる「獲得免疫」があります。自然免疫と獲得免疫は協力をして抗原を排除しています。(図1)

 自然免疫はマクロファージ、顆粒球、ナチュラルキラー細胞等により構成され、獲得免疫はヘルパーT細胞、キラーT細胞、B細胞等により構成されています。

 抗原が体内に侵入した際に最初に働くのが自然免疫です。自然免疫を構成する細胞達は体内を巡回しており、侵入してきた抗原の種類に関係なく攻撃します(第一次攻撃)。この時マクロファージは戦いで得た抗原の情報をヘルパーT細胞に提示します。ヘルパーT細胞は獲得免疫において司令官のような役割をもっており、マクロファージから受け取った情報を基にキラーT細胞やB細胞に命令を下します。命令を受けたキラーT細胞は抗原を攻撃します。一方、B細胞は抗体を産生し、その抗体をもって攻撃を行います。(第二次攻撃)  キラーT細胞と抗体はヘルパーT細胞に指定された抗原だけを攻撃し、さらにその情報を記憶して再び同じ抗原が侵入してきた時に瞬時に対応できるよう備えます。

 自然免疫は町内を巡回して怪しい人を取り締まる警察官のような役割を持ち、獲得免疫はターゲットのみを攻撃する軍隊のような役割を持っています。

図1:自然免疫と獲得免疫


免疫システムとアレルギー( >д<)、;'.・ ィクシッ

 我々は自然免疫と獲得免疫が正しく機能することで外敵から身を守っていますが、免疫システムが過剰に反応してしまうと自身に害を及ぼします。この状態をアレルギー反応といい、花粉症も代表的なアレルギー反応のひとつです。

 免疫の過剰反応が起こる理由は諸説ありますが、抗体の過剰産生が有力な説とされています。 抗体には5つのタイプがあり、花粉症の場合IgE抗体というタイプが関与しています。

 IgE抗体は粘膜上にある肥満細胞とよばれる細胞の表面に結合し蓄積します。IgE抗体が生成されるだけでは花粉症は発症しませんが、花粉に接触するたびにIgE抗体は肥満細胞表面に蓄積していきます。そして、ある一定の水準を超えた状態で再度花粉に接触すると免疫が過剰に反応し花粉症が発症します。この水準や抗体の産生量は体質により異なることがわかっています。

  花粉症の人が花粉に接触すると、花粉が肥満細胞上のIgE抗体に結合します。すると肥満細胞からヒスタミンやロイコトリエンといった化学物質(総称:ケミカルメディエーター)が放出されます。ケミカルメディエーターは炎症を引き起こす作用があり、これらにより慢性的な炎症が引き起こされます。

  IgE抗体はもともと寄生虫に対する防衛システムだったと言われていますが、衛生状態がよくなり寄生虫に感染する機会が減ったため、花粉に反応するようになったと考えられています。IgE抗体は花粉症の他にも気管支喘息やアトピー性皮膚炎などにも関わっているとされています。

薬物治療は早めの対応が肝心です!( ̄^ ̄)

 放出されたケミカルメディエーターは受容体(ケミカルメディエーターを受け取る器官)に結合してその作用を示します。ケミカルメディエーターと受容体は鍵と鍵穴の関係にあり、ヒスタミンはヒスタミン受容体、ロイコトリエンはロイコトリエン受容体にしか結合できません。ヒスタミンやロイコトリエンが各器官にある受容体に結合すると花粉症の各種症状が生じます。(図2)

図2:花粉症の発症メカニズム


 抗アレルギー薬は受容体に蓋をして、ケミカルメディエーターが結合できないようにするものが一般的です。蓋をするというところがポイントで、既に受容体にケミカルメディエーターが結合していると効果がありません。また、ケミカルメディエーターの数が多いと受容体の取り合いに負けてしまい、この場合も効果が弱くなって今います。つまり薬を最大限に効かせるのなら、花粉症シーズンより少し前から薬を飲み始めることが大切なのです。(図3)

図3:受容体と抗アレルギー薬


 毎年我々を苦しめる憎き花粉症、自然の現象とはいえ辛いものがありますよね。今年は早めの対策でちょっぴり楽をしてはいかがでしょうか?ヽ(•̀ω•́ )ゝシャキーン